だって、あたしの部屋は三階で微妙な遠さだし
果歩は二階で階が違う。


隣も知らない人だし……。
まあ、川上くんじゃないからそこは安心。


まあ、何とかなるでしょう。



「げっ……泰人(たいと)とあの女部屋まで隣だ…」


隣から聞こえてきたのは果歩の声。
泰人とは、果歩の噂の彼氏さんのこと。

果歩の表情は心底気に食わないとでもいうような顔だった。

まあ、そりゃあ先輩のこと狙ってる女子が隣の部屋だったら嫌だよね。



「も~、真心~最悪なんだけど」


「まあー……どうせ、去年みたいに部屋の行き来するんでしょ?」



人前でも気にせずにイチャイチャできる果歩たちはすごいと思う。

あたしなら、恥ずかしくてそんなことできないから。


ちなみに部屋の行き来が学校側にバレたら処分は確実なんだけどね。

果歩たちは幸い、まだバレたことがない。