「真心ちゃんのおかげでほんと楽しかった!帰りは気にしないで二人で座ってね?」
バスから降りてすぐに律儀に二回目のお礼を言ってくれる京香ちゃんは本当にいい子だと思う。
「真心は真心で楽しかったみたいだね」
そんな京香ちゃんの隣でニヤリと口の端を上げている果歩が言った。
何よ、その不敵な笑みは。
まあ、言わなくてもだいたい分かるけどね。
「まぁ、暇ではなかったし楽しかったよ」
きっと、果歩が言いたいことはケンケンとのことだと思う。
さっき言った気持ちは嘘じゃない。
ケンケンと話していると飽きないし、むしろ、楽しくて時間があっという間に過ぎてしまったぐらいだもん。
「ふふっ、ついに恋が来ちゃうかもね」
「でた。果歩ってば、すぐそれ言うよね。
でも、安心してね。そんなことはないから」
確かにケンケンは話しやすいけど、友達ってだけで今は十分。
「もーっ!そんなんだから真心は彼氏できないんだってば!」
両頬をプクゥーと膨らませながら不服そうに言う果歩の隣で京香ちゃんが口元を抑えてクスクスと笑っている。



