またすぐにお風呂に行くんだろうなぁ……なんて思いながら、今、食べ終わったばかりの空になった食器を持っていこうとしたら……
有村くんがあたしのお皿と自分のお皿を重ねて黙ってキッチンまで持っていった。
え、今のは何?
突然のことにビックリして目をぱちくりさせて固まってしまう。
「有村くん?!」
でも、すぐにあたしもキッチンまで行く。
すると、有村くんが洗剤のついたスポンジを手に食器をゴシゴシ、と洗っていた。
うわぁ……なんか画になるなぁ〜……って違う違う。
有村くん……、何してんの?
「いいから、風呂入ってくれば?」
「えぇ!?」
彼の口から出た言葉にあたしは思わず、耳を疑った。
あの、毒舌で優しさの欠片もなかった有村くんがそんなこと言ってくれるなんて……!!
「これからは交代制にしよ。明日は俺が飯作るから」
「有村くん料理できるの!?」
え、ほんとにあたしの前にいるのは有村くん?
誰かが入れ替わってたりする?
まあ、それはさすがにないか……。
でも本当に夢みたいだ。
いつとの有村くんじゃない。
「まぁな。お前も一人でやるのはしんどいだろ?好き嫌いとかあるなら言っておいてくれねぇとあとから文句言っても知らねぇから」
なんか……有村くんってそんなに嫌なヤツじゃないかも。
普通に喋ればいい人だ、とふと思った。
ただ、口下手で不器用なだけなのかもね。
「OK、お風呂上がったら紙に書いとくね」
有村くんの新たな一面を知ることが出来て少し嬉しい気持ちになった。
さあ〜、有村くんのお言葉に甘えてお風呂行こ〜!