寝てるんならイタズラしちゃお……ふふっ。
静かにそろりそろり、と有村くんに接近する。
ここは耳元でおっきな声出すとか?
あ!デコピンにしようかな?
でもなー……触ったら怒られそうだし。
少し悩んでから、結局大きな声を耳元で出すことにした。
だってそれだったらあんまり怒られないでしょ。
「お!き!ろ!」
有村くんの耳元でおっきい声でそう叫ぶ。
幸い、教室はガヤガヤ、とにぎやかでうるさいのであたしの声なんて有村くんにしか聞こえなかったと思う。
すると、彼の瞼がだんだん上がって黒目がちな綺麗な瞳と視線がぶつかった。
ただ、彼の表情は真顔で……怒っているのか、それともなんとも思ってないのか……そんな感情すら読み取れない。



