「そうそうっ!誰が隣の部屋だろうね~」
そんなこと言ってる果歩の頬は緩んでいてあたしはその頬を軽くぺしっ、と叩いた。
「あんたには先輩がいるでしょーが」
「いや、あたしは真心の相手を想像してるんだよ?」
「あ、そうなの?」
「やだなぁ~……!!去年は川上くんだったけ?ゲームの音がうるさいってよく文句言ってたよね~」
懐かしそうに語ってるけど、こっちはほんとにそれで何回寝不足になったかっていうぐらい大変だったんだからね。
やっと……今日解放される…!!
「一年、早いようで長かったよ」
あたしの学校では校舎のすぐ隣にある棟で寮生活ができる。
そして、一年に一度気分を変えるために部屋をくじ引きで決めるのだ。
もちろん、ルームシェアなんて可愛いもんじゃなくて部屋は一人、一部屋と決まっている。
それに寮生活じゃない人もいるけど……県外から来ているあたしと果歩は寮に入っている。
最初は心細かったけど、今はもうだいぶ慣れた。