「……俺、トマト嫌いなんだけど」
ぼそっ、と恥ずかしそうに言った彼。
その声はすぐにジュージューとうるさい炒め音にかき消されたけどあたしには確かに聞こえた。
でも…
「え?なんて?聞こえなかった」
ちょっとぐらいさっきの仕返しをしてもいいじゃない。
これがあたしなりの精一杯の反論だ。
トマトが嫌いなんて知らない。
「……何もない」
そういうと、再びソファに戻って黙々と本を読み始めた有村くん。
なんか、拗ねた子供みたいで可愛かったんだけど。
さっきまでは憎たらしかったのに…有村くんって母性本能くすぐるようなもの持ってたりする?



