どこにいるのかなんて全く分からない。
でも、ただどうしようもなくふぅちゃんを取られたくなくて。
よく考えれてみれば、このまま不倫関係になってしまったらまたふぅちゃんは傷つくことになる。
なのに、あたしってばなに背中押してんの?
あたしが…あたしがふぅちゃんを幸せにしたいのに。
「楓希…っ」
初めて…ちゃんと下の名前で呼んだかも。
小さく名前を呼ぶ声に風だけがヒュルルルと返事をして、当たり前だけど当の本人からの返事はない。
どこにいるのよ…!
どんなには探してもいない。
近くのカフェも、二人が行きそうなところも。
もう…ダメだ…。
二人はもうどこかへ行ってしまったんだ。
遅かったんだ……と思った矢先
あたしの視界に入ったのは赤いスポーツカーが寮の方へと向かってくるところ。
よく見ると、運転席には智織先生が。
そして、助手席にはふぅちゃんが座っていた。
二人は車内で仲良さそうに会話をしている。
やっぱり…そういう関係に……?
でも、めげるな真心。
諦めないで、あたしも想いをぶつけなきゃ。



