「でも…」
あたしがこんなこと言うなんて思っていなかったのかきょとん、とした表情であたしを見つめる。
「今ならまだあの人いると思うから!
旦那や子供がいたって関係ないよ!!
ふぅちゃんの正直な想い伝えなきゃ…!!」
あたしは無理やりふぅちゃんを立ちあがされて、玄関の方を向かせてからぽんっ!と背中を軽く押す。
「ほら、ね?」
笑え…笑うんだ。真心。
あたしは締め付けられる胸の痛みを隠しながらふぅちゃんに白い歯を見せて微笑んでみせた。
「……真心、マジでさんきゅ」
ふぅちゃんはそれだけいうと、全速力で駆け出して部屋から出ていった。
バタン、と扉が閉まる音が耳に届くと
あたしはヘナヘナとその場に崩れこんだ。
何やってんだろ……あたし。
でも、これでよかったんだよね?



