現国だって、いつかまた先生に会ったときに成績がよければ褒めてもらえるかもしれない


なんて、考えていたら体が勝手に動いて現国だけしか勉強しないようになっていた。



こんな毎日だからこそ、先生から抜け出すことが出来ない。



むしろ、俺は先生のことを忘れようともしていないのかもしれない。



もう、俺は“智織先生”という底なし沼から自分では抜け出せないようになっていた。



そんなときに出会ったのが、同じ部屋になった真心だった。



真っ直ぐで、本当は泣き虫なくせに強がりで…最初は正直嫌いなタイプだった。



何でもズカズカとプライベートに踏み込まれるのは好きじゃないから。



でも、何かに惹き付けられたかのようにいつの間にか俺の心は真心で埋められていた。



少しずつ、先生とのことが思い出にできてきたのになんで……また会っちまうんだよ。



久しぶりに会った先生は昔と何も変わっていなくて少しだけドキリとした。



でも、その薬指にはきちんと指輪がはめられていてただ胸がぎゅっと苦しめられただけだった。


なんで…なんで会いになんて来るんだよ。