もう…女なんか信じない、その日から俺は心に深く誓った。



それから、俺はがらりと変わった。
女と話すことをやめて、あんまり笑わなくなった。



全てが信じられなくて、辛くてもう傷つくのが嫌で…ずっと逃げていた。



先生がいなくなった学校は来る意味などあるのかと思うほど楽しくなくて、苦しかった。



教室にいているだけで先生との思い出が勝手に頭の中に浮かんできて、また一人で虚しくなるだけだった。



そして、もう二度と先生と会わないように県外の学校を受験して無事に合格した。



先生と無惨な別れ方をしてからも俺はずっと先生を忘れられなくて、高校に入ってもそれは一緒だった。



先生から誕生日プレゼントとしてもらったミステリー小説と花柄という俺には似合わないしおり。


『毎日読むページ数を決めて読むともっと楽しめるわよ』



そんな先生のその言いつけ通りに俺はその本を毎日欠かさずに読んで、先生を思い出していた。



他の本に目もくれずにその本だけをずっと読んでいた。
それはもうページがボロボロになってしまうほど。


誰が犯人だとか、どんなトリックを使った、なんてもう分かっているけど読むことをやめられなかった。