先生には最初から婚約者がいて、何があったのかは分からないけど
俺と付き合うきっかけとなったあの日、泣いていたのはきっとあの男が原因。
そして、俺とキスもその先もしようとしなかったのは婚約者がいるから、妊娠しているから…
そう考えれば、全てのことの辻褄が合う。
俺は先生の逃げ道なだけであって…遊ばれていただけだったんだ。
突然の裏切りに最初のうちはぼーっとしていて何も考えられなかったけど
後からじわじわと悲しみや苛立ちがこみ上げてきて、それがだんだん涙に代わり瞳に涙のフィルターがかかる。
今は全校朝礼中…泣くわけにはいかない。
『───……短い間でしたがありがとうございました』
先生の別れの話すら、もう頭に入ってこない。
胸がキリキリと痛んではちきれそうなぐらい苦しい。
こんなことなら、好きになんてなるんじゃなかった。
全校朝礼が終わると俺はすぐに先生の元へと向かった。



