俺が友達と遊び終わり、一人で家まで帰る途中に少し遠くの方に先生らしき人を見かけて、声をかけようとしたけどその場で足を止めた。



俺は目の前で起こっているその光景が衝撃的すぎて目が離せなかった。



俺が見たその光景とは、先生が俺の知らない男から指輪をもらって



その指輪を指にはめてキラキラと光る自分の手を嬉しそうにはにかんでいたから。



意味が分からなくて、ガキだった俺は先生たちの方へと歩き『どういうこと?』と悪態をつきながら、先生のことを問い詰めた。



これって…いわゆる浮気ってやつだよな?



その時の俺は信じられなくてショックで…夢でも見ているのではないかと思ったぐらいだった。



夢なら早く覚めてくれよ。と思ったけどそれはどうやら夢じゃなかったようで、



先生は俺を見るなり一瞬動揺の色をみせて何故か俺に微笑んだ。



『この子、あたしのクラスの生徒なの。とってもいい子なのよ〜』



と、俺を知らない男に紹介する先生。



なんで、先生は俺を生徒だって言うの?


俺は先生の彼氏でしょ?



言いたいことは山ほどあった。


でも、先生と一緒にいた男は俺なんかよりもずっと大人っぽくて落ち着いた感じでニッコリと笑う顔が優しく、何より……先生とお似合いだった。



だからなのか、言いたいことの山は簡単に崩れてどれも言葉にすることはできなかった。