「ごめん…でも、あんなふぅちゃん見てられなかった」
ふぅちゃんらしくなかった。
いつもみたいな冷静な表情じゃなかった。
今だって、そんなに悲しそうに辛そうにしてるのになんであたしを頼ってくれないの?
「……」
あたしの顔をジッと見つめたまま何も言おうとしない様子の彼。
でも、その目があたしに訴えてるように見えた。
『助けて』と言っているように見えて仕方なかった。
「一人で抱え込んでバッカじゃないの?
あたしがあんたを頼るようにあんたもあたしこともっと頼んなさいよ…!!」
信頼しているのはあたしだけなの?
あたしだけがキミのことを信じているの?
あたしの言葉を聞いてふぅちゃんの瞳にだんだん悲しみの涙が溜まっていくのが分かる。
それは今にもこぼれ落ちそうで、あたしはそっと人差し指でその雨がこぼれ落ちないように優しく拭った。
「あれは俺が中学二年のときだった……」
すると、彼が震えた声でぽつり、ぽつりと一つ一つを思い出すかのようにゆっくりと話し始めた。