「誰の車だろうね」
特に気にも留めずに歩き出したけど、ふぅちゃんの足は止まったまま。
「ふぅちゃん?」
「……」
「ねぇ、ふぅちゃんってば…!」
何度問いかけても何も返事は返ってこず、ずっとそのスポーツカーだけを見つめている。
放心状態…といった方がいいのかな?
すると、スポーツカーから少し遠くからでもわかるほどスタイルのいい女の人が運転席から下りてきて
こちらを見て、一瞬だけ目を大きく見開いてからあたしたちの方に駆け寄ってきた。
ふぅちゃんの知り合い…?
とても、生徒には見えないしもしかしてふぅちゃんのお姉さんかな?
「楓希だよね?久しぶり。元気にしてた?」
あたしたちの前まできた女の人は遠くで見るより近くで見る方がスタイルが良くて、目が釘付けになるほどの超絶美人だった。
モデルさんかなんかかな…?
見た目は二十代前半ぐらいに見える。
「……何しに来たんだよ」
ずっと、黙っていたふぅちゃんがひどく湿度のない声で怖い口調で言った。
仲良くないのかな…?
兄弟ってこんなもんなのかな?
「楓希がどうしてるか心配で会いに来ちゃったの」
女の人がそういうと、ふぅちゃんは辛そうに顔を歪ませてチッと舌打ちをした。
あたしはその様子をただ黙って見ているしかできなかった。
兄弟喧嘩ですか…?
でも、ふぅちゃんとその女の人の雰囲気はとても兄弟とは思えないほどの雰囲気だった。



