ツンデレ王子と溺愛同居してみたら。





「わ、笑わないでよ…!」



「ん…真心」



そんな色っぽい声で名前呼ばれると心臓が騒がしくなるからやめてよ。


ただでさえ、ふぅちゃんがこんなにも至近距離にいることだけで胸がいっぱいいっぱいなのに。



「なに…?」



「呼んでみただけ」



「なっ…!」



カチッ、と電気を付けてムカついた勢いで後ろを振り向くとありえないぐらい近くにふぅちゃん顔があって思わず顔を逸らした…



けど、すぐにふぅちゃんによって前を向かされて彼の甘い視線とぶつかり合う。




電気をつけたのが間違いだった。


暗かったら、こんなにはっきり顔が見えなくて胸のドキドキもマシだったかもしれなかったのに。



あー…あたしはバカだ。



「……キスできそうだな」



あたしの唇をそっと親指で優しく抑えて、ひどく柔らかい笑みを浮かべている彼にあたしの体は一気に体温が上がった。



や、やばいって……この状況。




「き、キス!?」



「ダメ…?」



そう言いながらもあたしの顔にどんどんと自分の整った顔を近づけてくる。



その距離はもう鼻と鼻がくっつきそうなほどで…心臓が止まりそうになる。



「ちゅー…したくなっちゃった」



もう触れ合いそうなぐらいの唇。


ふぅちゃんが言葉を発するたびに吐息が顔にかかり、ドキドキが増していく。



もう、キスされてしまう…!


そう思ってぎゅっと目をつぶると「ふっ…かわいっ」という声が聞こえてきて…ちゅっと短いリップ音が静かな部屋に響いた。



「今日はそこで我慢してやる」



ふぅちゃんがキスしたのは唇…ではなくて、左頬だった。



あたしは恥ずかしくなってほっぺたをそっと抑える。