「真心、自分の気持ちには正直にね」
「あ、うん…ありがと。果歩」
そういうと、彼女は頬にえくぼを作りにっこり、と可愛い笑顔を見せた。
そこであたしと果歩はそれぞれの部屋へ向かい別れた。
あたし、改めていい友達持ったな。
京香ちゃんという新しい友達にも恵まれてあたしはもう十分幸せだよ。
ふぅちゃんに家に帰ったらお礼言わなきゃ。
「ただいま」
ガチャリ、と扉を開けると返事はないもののふぅちゃんが本を片手にこちらをジッ、と見ていた。
「まーた、本読んでるの?
しかも、電気も付けないで。目、悪くなるよ?」
リビングまで行き、電気を付けようと手を伸ばした瞬間その手の上にふぅちゃんの手が乗っかった。
そして、すぐ近くに感じる彼の体温。
そのせいで、異常なほどまでに心臓の動きが速い。
「どうしたの?ふぅちゃん」
「おかえり…真心。待ってた」
え、ふぅちゃんが『おかえり』って言ってくれた!
こんなの初めてだ。
なんの風の吹き回しなんだろう…??
「た、ただいま…っ」
動揺をできるだけ隠しながら言うと、耳元でフフッ…と小さな笑い声が聞こえてきた。



