プールの時は屋外で誰が気づきやすかったけど今は違う。
完全なる密室状態で助けなんて求めたとしても誰も助けになんて来ない。
だからこそ、余計に怖くて気づけば手が小刻みにブルブルと震えていた。
「そんなに怖がんなって」
どんどん近づいてくる男を突き飛ばして扉をドンドン!とめいいっぱい叩くけど、
もう一人の男に両腕をがっちりと掴まれてマットの方へ連れてこられてマットの上に座らさせられた。
じわり、じわりとこみ上げてくる涙を必死に堪えて男たちに抵抗する。
手は掴まれてても足は使えるもん。
「今から気持ちよくしてやるから」
ニヤニヤと吐き気がするほど気持ち悪く笑う男が制服のポケットからカッターナイフを取り出してあたしの制服を切り裂こうとした。
ああ、もうほんとにあたしは襲われてしまうんだ……
そう思ったそのときだった。
ガンガンッ!!と誰が扉を思い切り蹴る音が耳に届いて男たちも驚いてあたしの制服を切り裂く寸前で手を止めた。
「な、なんだ…!?」
「誰が来たのか…!?まさかそんな…」
男たちは驚いてカッターナイフを床に落として
しどろもどろしてるうちに
ガチャと鍵が開く音がして、中に入ってきたのは恐ろしいほどの殺気を放っているふぅちゃんだった。
「ふぅ、ちゃん……」
助かった…
ふぅちゃんが来てくれたことに安心して我慢していた涙が溢れ出てきた。
どうしてこんなところにいるの?
ケンケンと話してたんじゃないの?
聞きたいことはいっぱいあったのに今はもう安堵の波が押し寄せてきてどれも言葉にならなかった。



