「ちょ、有村!お前水沢と付き合ってんの!?」
そして、あたしよりも後に教室に入ってきたふぅちゃんは予想通りみんなからの質問攻めにあっていた。
「……は?」
「お前、水沢と付き合ってて部屋の行き来とかしてんだろ!?」
あちゃー……
そんなことふぅちゃんに言っても無駄なのに。
どうせ、お得意の“有村スルー”を発動するに違いない。
「部屋の行き来じゃねぇよ。一緒に住んでんの」
彼はそういうと自分の席に座り何もなかったかのようにカバンから本を取り出して読み始めた。
え……?
ふぅちゃん、今なんて言った?
周りからはヒューヒューと指笛を鳴らす音が聞こえてきてあたしの頭は一瞬放心状態に陥った。
何いってんの?
バラしちゃダメっていう約束だったじゃん。
「え、お前ら付き合ってんの!?」
「だったら、悪い?」
えぇ…!?
ふぅちゃん、でたらめはダメだよ!!
あたしたち付き合ってないじゃん…!
なのに、なんでそんな平然と答えちゃってんのよ!
クラスの男子が冷やかす中、ケンケンが真剣な表情をしてふぅちゃんの肩を叩き
「昼休み、話がある」
「……わかった」
そんな二人のやりとりを聞いて「おお!有村ライバル出現!」「きゃー!真心ちゃんモテモテ!」だなんて声が教室のあちこちを飛び回りもっと騒がしくなった。
あたしはただ驚くことしかできずその場でぼーっと立ち尽くしていた。
そして、チャイムが鳴りまいてぃーが入ってきてHRが始まると教室の熱は徐々に冷めていった。