「ふ、ふぅちゃん…どうしたの?」
さっきまで下がっていた瞼がいつの間にか上がっていて熱があるからか
とろーんとしたいつもとはまるで違う柔らかい瞳とあたしの視線が絡み合う。
「あのさ、俺も男なんだけど…わかってる?」
「え?そんなの分かってるよ」
見た目からしてどこをどう見ても男の子にしか見えないでしょ。
あたしはそこまでバカじゃないし。
「なら…もう出ていけ」
きっと、睨んでいるつもりなんだろうけど
とろーんとした瞳でそんな睨まれても怖くないし、むしろ可愛い。
「やだなぁ、ふぅちゃんってば。
なんか食べれるものとかある?リンゴでも切ろうか?」
掴まれた腕を離そうとしても
ぐっ、ともっと強く掴まれて離せない。
反抗したいけど、相手は病人だから我慢我慢…
「ふぅちゃん、この手そろそろ離して?」
にっこり、と笑みを向けながら言う。
「……やっぱ、分かってねぇな」
そんな声が聞こえたと思ったら、掴まれていた腕をぐい、と引っ張られてあたしはふぅちゃんのベッドに倒れ込んだ…
と、いうよりふぅちゃんに抱きしめられる形になってしまった。