「お前が井原と付き合うかもしれねぇって焦ってんだよ」
「え…?」
ふぅちゃんが焦ってる理由ってあたしがケンケンと付き合うかもしれないからってこと?
「分かる?俺はこんなにお前の事考えてんのにお前は井原のことなんか考えて、ムカつくんだよ」
「井原のためにオシャレして化粧までして…」
え、ちょっと…ふぅちゃん!?
なんかそれヤキモチみたいに聞こえるのはあたしだけ!?
「もっと俺のこと考えて。
他の男のことなんか考える余裕もないくらいに」
「…っ/////」
そんな色っぽい目つきで言われたら、余計に心臓がうるさくなっていく。
もう…いい意味で寿命縮んでしまいそう。
「そ、それは…どういう?」
ふぅちゃんはいつも肝心なところは何も言わない。
だから、気持ちもはっきりとは分からない。
そこがズルいと思うんだ。
「分かんなくていいから、俺だけを見てて。」
強い口調でそう言われると自動的にコクンと頷き返してしまった。
「ん。いい子」
あたしの頭の上に大きな手をぽんっ、と置いて優しく目を細めた。
その笑顔は極上に甘くて見ているだけでとろけそうで…そんな笑顔を間近で見ているあたしはドキドキが最高潮だった。
結局、肝心なところも聞けずケンケンに告白されたなんてことは言えるはずもなく夏休みは終了した。