「ふぅちゃんの嘘つき」
さっき、あたしが泣くほど傷つけられたと思うと耐えられなかった、って言ってたじゃん。
「……」
うわ、今度は得意技の“有村スルー”だ。
でも、今回ばかりはあたしも引き下がらないんだからね。
ふぅちゃんの肩を掴んで、グラングランと揺らす。
「ねぇ、なんでか教えてよ」
「はぁ…ほんとうるさい。」
ギッ、と鋭く睨まれると怯んでしまいそうになるけどここで折れるわけにはいかない。
「あーもう…こんなこと言うつもりなかったけど…」
深いため息をつきながら言って、再びあたしの瞳と視線を合わせた。
嫌なぐらい真剣なその瞳にドキンッと大きく胸が高鳴る。
そして、何を言われるんだろう…と少し身構える。
「俺にとっては
お前に関わる世界中の男はみんな敵だから」
ぷしゅー、と炭酸ジュースの炭酸が抜けるように身構えていた体の力を抜いた。
それと同時に顔がぼわぁぁっと赤くなり、みるみるうちに熱を持っていくのがわかる。
こ、こんな不意にそんな甘いセリフ言うとかアリですか…!?
ただでさえ、顔が赤いのにそれに加えて心臓が脈打つスピードも勢いを増していく。
「な、何言って……」
「……お前が言わせたんだろ」
彼も照れているのかほんのりと顔が赤いように見える。
ふぅちゃん、いきなりどうしちゃったんだろう?
前からずっとおかしいな、とは思ってたけど。



