そんなあたしを見てまたクスクスと笑う金田くん。
「別にあたしは普通だよ?
ふぅちゃんが誰が好きでもあたしには関係ないもん」
そうそう、あたしとふぅちゃんは友達。
だから、あたしには関係ない…はずなのになんでこんなにモヤモヤするのよ。
「あと、楓希のことそんな風に呼ぶの水沢ちゃんだけだよ。
楓希は基本女に名前とかで呼ばさせねぇからな」
なによ…その特別感みたいなの。
自分から“ふぅちゃん”って呼べって言ってきたんだよ?
ふぅちゃんが何考えてんのかわかんない。
「そうなんだ」
「まあ、水沢ちゃんファイトだよ」
金田くんはそう言うとブランコから立ち上がって入口の方へと歩いていく。
ブランコだけがまだ少し揺れている。
金田くんの『ファイト』の意味がよく分からなかったけど…まあ、いっか。
金田くんが帰ってからもしばらくブランコで座っていた。



