「…ふぅちゃん」
二人きりになり、彼の綺麗な顔にを見上げるとそこには赤くなっている痛々しい傷があって胸がズキズキと痛む。
そっと、彼の頬に触れると表情を一瞬歪めたけどすぐに元の無表情の彼に戻った。
「ごめんなさい…綺麗な顔に傷つけちゃって…」
あたしのせいで、作らなくてもいい傷作らせちゃって。
「別に…お前のためじゃない」
触れているあたしの腕を下におろして、スタスタと去っていく。
だけど、すぐには追いかけられなかった。
だって彼の背中が『追いかけてくるな』そう言っているかのように思えたから。
いつもとは違う雰囲気に戸惑ってしまう。
いや、ふぅちゃんは最初からあんな感じだった。
最近が変だっただけで、それにあたしが勝手に距離が縮んだなんて思い込んでただけなんだ。
全部、あたしの思い込み。



