「まじだよ」
「じゃあさ!好きな俳優とかいる??」
いきなり、話題がぶっ飛んだけどこれもケンケンの良くあるところだからよしとするか…。
「あー、あたしはねー…」
そこから映画館までの道のりはケンケンのおかげで暇をすることなく、楽しく行くことが出来た。
映画のチケットも先に取っといてくれて、『お金はいらない』とか言い出すから
ポップコーンとかはあたしが二人分無理やり自分で買った。
ケンケンは優しいし、女の子が憧れるようなこととかはすぐやってくれる人だからモテるんだろうな。
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映画が終わり、館内から出るとケンケンは泣いていた。
「え!?ちょ、ケンケン!?」
どうして泣いてんの!?
確かに隣から鼻をすするは聞こえてきたけど、まさか泣いてるなんて!!
慌てて彼にタオルを手渡す。
「ごめんごめん。
あの映画最後の方マジ感動的だったよな」
ケンケンって案外涙もろいんだ。
確かに主人公とその男の子は好き同士なのに結ばれなくてすれ違う、というような話だった。
切なかったけど…あたし基本泣かないからな。
こういうのって、普通は女の子が泣いて男の子が『泣き虫』とかいって慰めたりするんだよね?
うわ、あたしってば全国の男子の理想からかけ離れすぎててやばい。



