でも、もし聞かれてたらあたしはなんて答えてたんだろ?
ケンケンと遊びに行ってくるだなんて言いにくい。
なんか、喉の奥にその言葉が引っ掛かって上手く出てこなくなるんだ。
なんでなんだろ…?
なんでふぅちゃんには言いづらいのかな?
「マコマコ〜!ごめん!待ったよね!」
こちらに手を振りながら爽やかなスマイルを浮かべて走ってくるケンケン。
黒のTシャツにデニムのズボンでブランド物らしき帽子を被っている。
予想通りのカジュアルな服装だ。
「いや、全然待ってないよ」
あたしが待っていたのは五分ほどだけ。
ケンケンは10分前に来たんだから、遅れてはない。
あたしが早く来すぎただけなんだって…!!
ふぅちゃんと二人きりであの空間にいたらもしかしたら
『どこいくの?』って聞かれるんじゃないかと思って急いで出てきたんだ。
「んじゃあ、行こっか」
さりげなく繋がれた手に体がビクンと反応する。
この前のプールのときのが少しトラウマになってるのかも…。
しかも、ケンケン…なんでいきなり……?
あたしたち友達だよね…?
「…手」
「嫌だった?」
「い、嫌じゃないけど……」
そんなに顔を赤くさせて言われたら『嫌だ』なんて言えるわけないじゃん。
「ならよかった。ほら、映画始まっちゃうから行こ」