理事長室の前に着くと、有村くんの腕を離すとチッ、と上から怒りの込められた舌打ちが聞こえてきた。
「なんなんだよ……まったく……」
予想以上にご立腹のようです。
でもね、これはとーっても大事なことなんだから。
「だって、どっちの部屋か確かめなきゃいけないじゃん」
そういってコンコンッ、と扉を二回ノックする。
すると、中から「どうぞ」という落ち着いた声が聞こえてきた。
「だからってなんで俺が……」なんて言いながら、髪の毛をくしゃっ、と掻いている彼をほっておいてあたしは部屋に入る。
そして、あたしの後ろから面倒くさそうに有村くんが入ってきた。
「水沢さんと有村くん?珍しい二人ね。一体、どうしたのかしら?」
個人的にはこの理事長は結構好きだったりする。
あ、それはもちろん大人としてね。
あたしたちの意見もちゃんと聞いてくれてそこらへんの教師よりも全然親しみやすいけど、怒ったら、めちゃくちゃ怖いらしいという噂を耳にしたことがある。
怒っているところを見たことがないけど、普段温厚な人ほど怒ったときは怖いっていうからそれは本当のことなのかもしれない。
でも、頼れるおばちゃん!って感じ。
そんなこと言ったら、学校にいられなくなるから言わないけど。



