「ほんと調子のいいやつ」
はぁ…とため息混じりに言ってるけど、あたしの気持ちは明るかった。
だって、ふぅちゃんがあたしに向かって笑ってくれたんだもん。
最近、彼はよく笑うようになった。
“有村スルー”は変わらないけど、あたしたちの距離は確実に縮まってきてると思うんだよね。
「ふぅちゃんにだけは言われたくないし。
急に笑顔になったと思ったらすぐ無視するんだから」
ほんと、自分こそコロコロ態度変わるんだから困っちゃう…けど、それがふぅちゃんにハマっていってしまう原因なのかもしれない。
好き…ってことはないけど、何故か気になっちゃうんだよね。
あたし、ふぅちゃんのこと苦手だったのになぁ。
きっと、最初はあんなに遠かった距離も友達として距離が縮まってきたから嬉しいんだよ。
そうそう、それ以上の感情はない、と自分に言い聞かせるように何回も心の中で唱えるのに…
『ずっと、俺にだけドキドキしてろよ。』
『アイツのこと、好きなの?』
なんでこんなにも頭と心の中がふぅちゃんでいっぱいなんだろう…。
あんなこといきなりしてくるふぅちゃんが悪いんだ。
男慣れしてないあたしに…いっぱい甘いセリフなんか言うから…。
ふぅちゃんはあたしのことどう思ってるの?
なんて、聞けるわけない。
はぁ、なんかあたしらしくない。
だけど、ふぅちゃんには…嫌われたくないってなんか思っちゃうんだよね。
ほんと、変なの。
あたし、おかしくなっちゃったのかな?



