「はいはい。こいつのことなんか最初から何とも思ってねぇから」




冷たいその声と言葉が何故か心に突き刺さり、悲しみや虚しさが一気に胸にこみ上げてくる。



どんなに最低なヤツでも一度は本気で好きだった人だ。



そんな人から“最初から何とも思ってない”なんて言われたら結構キツい。



分かってたはずなのにな…あたしことなんか眼中になかったことぐらい。



「じゃあな」



それだけ言うと、足早に去っていく足音がして室井くんはどこかへ行ったのだとわかった。



室井くんがどこかに行ってからすぐにふぅちゃんはあたしの方に振り返った。




切なげに揺れる彼の瞳と視線がぶつかり合う。



こんな…半泣きなところなんか見られたくない。


絶対、鬱陶しいとかめんどくさいとか思われるに違いない。




「……」




ただ、視線をあたしに向けているだけで何も言葉を発さないふぅちゃん。



呆れてるのかな……?




「ご、ごめんね!また迷惑かけちゃって!!

もー、ふぅちゃんってば突然あらわれ…って…え?」




その沈黙が耐えられなくてあたしがいつも通りなテンションで話しかけていると、急にあたたかい温もりに包まれた。



ふぅちゃんは上半身裸だから余計にドキドキしてしまう。


胸の鼓動がふぅちゃんに伝わってない…?大丈夫だよね?


心なしかふぅちゃんの心臓の動きも速い気がするんだけど……。