「健斗」
私の声に、健斗は驚いたように私のほうへ近寄ってきた。
「どうした?俺に用?」
しまった!!!何も口実を考えてなかった!!!
無い脳ミソを一瞬でフル回転させる。
「深雪のことで……」
「深雪の?」
「うん。この間、殺された子の話をして、そのー、少し怖がっているように見えたから、健斗が何かフォローしてあげてほしいなって」
私の苦し紛れの理由に、健斗は何も疑わなかったようで、普通に返答し始めた。
だけど、それどころじゃない。
手首の内側を見ないと。でも、手首の内側なんて普通人に見せないし、見えない。

