健斗はそのあと、あの男と友達を連れて
ディスコの奥へ消えて行った。

深雪もついていって、普段なら私も行くんだけど、今日はやめた。




高いヒールをコンコンコン、と鳴らしながらディスコの奥の階段を登ると、扉がある。



その扉を開けると、一気に風が吹きこんできて、酔いが冷めた。



ネオンの町を一望出来るここは、このディスコが入ってるビルの屋上。





わりと気に入っていて、秘密の場所。





「赤と青と緑」




私は生まれてすぐにこの町に捨てられた。


それを拾ってくれたのはバーを経営するマスターで、今はもうこの世にいない。



名前もマスターがつけてくれたけど、名字だけはくれなかった。



いつか本当の親が迎えに来たら、ちゃんと本当の名字がもらえるように。




だから、戸籍もない。だから、私はこの世に存在してないことになってる。





幽霊みたいなもんだ。