「私ってね、幽霊なの」



行為が終わって、二人でまどろむ時間は最高の時間。




「俺は幽霊抱いてたってか」


燐はタバコをふかして笑うから、煙がもくもくと昇った。




「そ。幽霊を抱いた気分はどう?」


「最高。もっかいヤりたいくらい」



二人で笑うと、無敵になった気がする。





燐には話しておきたかった。
捨てられたこと、名字がないこと、戸籍がないこと。


その全てが今の私を形成してるってこと。




「何の問題もねえ。お前には俺がいるだろ」


燐はすべて聞いても、そう言うだけ。


大きな手に抱きしめられると、どんな障害からも守ってもらってるような感じがする。