「今日はありがとうございました!」
バックを肩に掛けながら、満面の笑みでそう言う春代ちゃん。
俺……よく頑張ったな。
手を出さずにいられた自分を褒めてやりたい。
玄関で、春代ちゃんが少しもじもじし始めた。
トイレでも我慢してるのかな?
玄関の鍵を開けながら首を傾げる。
「あの……ひとつ、聞いてもいいですか」
「え?何?」
どうしたの?と優しい声を意識しながら聞く。
すると春代ちゃんは俯いて、ボソッと小さな声で言った。
「……私には……ムラムラしませんか」
……………ん?
なんだって?む、ムラムラ……?
「何処で覚えてきたのそんな言葉!」
衝撃過ぎてつい叫んでしまった。
だって、春代ちゃんの口からそんな言葉が飛び出すとは!
俺が大声を出したせいで、少し怯えたような顔で俺を見つめる。
今にも泣き出しそうな彼女に、慌てて弁解する。


