「……嘘でしょ」
俺の横で、油良が信じられないと言いたげな表情で呟いた。
今絶賛お勉強中なんだけど、俺の頭のあまりの悪さに油良が唖然としてる。
数学やってんだけどさ、昔から計算系はめっちゃくちゃ苦手だから、まともに授業を聞いたことがなかった。
油良が頭を抱える。
「ちょっと待ってて。考える」
前髪をかきあげて、額を押さえながら参考書をペラペラ捲る。
……ごめん油良。
声には出さず、油良の真剣な横顔を見ながら心の中で頭を下げた。
でも、こんな一生懸命教えてくれるとは思ってなかった。
油良っていっつも授業中バカ騒ぎする俺たちを、蔑んだような目で見てたから、嫌われてると思ってた。


