無意識にため息をついていた。
それを聞いて、元カノの優梨子(ゆりこ)が声をかけてきた。
「なぁに?ため息なんてついて。欲求不満なのぉ?」
「……違ぇよ、」
バカ女、という言葉は飲み込んだ。
さすがに怒るだろうし。
何故だかまたため息が出た。
油良早水(ゆら はやみ)ちゃんに勉強を教えてもらう。
頭に不意に浮かんだ言葉。
油良早水とは、俺のクラス、2組のクラス委員長だ。
成績優秀で、責任感が強く、先生から信頼されてる女。
俺なんかと接点なんてあるはずないから、話したことはない。
多分、向こうは俺みたいなやつは嫌いだろうし。
でも確かに、あいつなら一週間あったら赤点以上の点数をとれるくらい、俺を賢くしてくれそうな気がする。
俺は静かに立ち上がって、油良が座っている席に向かった。


