まだ受験生だった時、まどかの親父さんが大学病院のお偉いさんなんだってことを知った。


その話をしてくれた時に、まどかは、親父さんの影響で医者になりたいんだって話していた。

だから医学的な知識が豊富だったし、ヤンキーみたいな格好してても頭がいいし、先生たちからの信頼が厚いかった。



いつか、まどかは言っていた。


「私、医者になったら外科医になりたいんだ。だって、外科医なら沢山の人を、この手で助けてあげられるからさ」



俺も、この手でお前を助けてあげたかったよ。




暗い部屋の中でベットに寝そべって、まどかの笑顔を思い出す。

もうまどかは、記憶の中にしかいない。



「………まど、か……」


気がつけば泣いていた。

もう何度、涙をながしたんだろう。


食事も喉を通らないし、ろくに眠ることもできない。

カーテンの隙間から漏れる太陽の光で、朝か夜かは分かるけど、携帯を見てないから今日が何月何日なんて分からない。


目を閉じたら、まどかの色々な表情が思い浮かぶ。

そうして思い出す度に、目頭が熱くなるんだ。