その日一日しか付き合わないって思っていたのに、結局朝霧の迫力に負けて1週間みっちり図書室で勉強する羽目になった。
まあ、教え方はかなり上手くて分かりやすかったし、テストもすらすら解けるようになったから、いいけどさ。
数日後、返ってきた答案用紙を見て驚いた。
平均点が……60点に上がっている……!
「うおぉ!すげーじゃん蒼太!」
机に並べた答案用紙を見て、潤平が興奮しながら言う。
その声につられて、皆も俺の机に群がってくる。
みんな口々にすげーすげーと驚いていた。
放課後。
「やればできんじゃん!」
朝霧がにかっと白い歯を見せながら笑った。
「あぁ……ありがとな」
素直にお礼を言うと、朝霧は目を見開いた。
徐々に顔が赤くなっていく。
「いっ、や、べ、別に!礼なんていーし!」
手を顔の前でぶんぶん振って、カミカミでそう言うもんだから、面白くてつい笑ってしまった。
動揺しすぎだろ。
そんなに俺がお礼言うのが以外だったのか?
「お前って、やっぱ変わってるよな」
クックッ、と笑いながら目線をあげると、朝霧はポツリと呟いた。
「……わ、笑った……」


