手が離れていって顔をあげると、蒼太は鞄をベットの脇において、冷蔵庫をあけた。
冷蔵庫を漁ってる蒼太を見つめる。
蒼太は、初めて出会ったときから鎖でがんじがらめにされていた。
鎖は、空に向かって伸びているから、多分彼女だった人が死んでしまったんだと思う。
その人に、ずっと縛られてるんだ。
今までは、鎖を切って失敗したから関わりたくなくて放っておいた。
でも、今ならきっと失敗しない。
たくさん助けてもらったから、今度は私が、蒼太を助けてあげたい。
「……ねぇ蒼太、」
「ん?」
「蒼太って、毎晩魘されてるよね」
「……っ!?」
動揺したような表情で、蒼太は私を見た。
そう、蒼太はいつも魘されてる。
多分蒼太は、私以上に深い傷を、心に負っているんだ。


