蒼太の家に帰ってくると、カーペットの上に倒れこんだ。
疲れたぁ……。
ニット帽と伊達眼鏡をとって、床に置く。
疲れたけど、二人の関係を修繕できてよかった。
蒼太が帰ってきたら、一番に報告しよう。
えへへ、と一人で笑いながら、そのまま眠ってしまった。
***
「……稲穂……おい、稲穂」
「……ん~……」
体を揺すられて、ぼんやりと意識が浮上した。
霞んだ目を擦って、目を開いた。
「……あ!蒼太!」
おはよう!って元気よく言いながら起き上がる。
蒼太は少し驚いたような顔をしながら、おはよう、って返してくれた。
「蒼太、あのね?私ね、今日自分なりに償いをしてきたよ」
そう言うと、蒼太は優しく笑って、頭を撫でてくれた。
「そっか……偉いな」
「えへへっ」
誉められたのが嬉しくて、またほっぺが緩んでしまった。


