ぽた、ぽた。 涙が頬を伝って、お椀のようにした手に小さな水溜まりができた。 その水溜まりに浸かっている糸は、みるみるうちにほつれが直っていって、やがて一本の糸になった。 ちょうどその時彩夏ちゃんが部屋から立ち去っていって、隼人くんが目を覚ました。 すると糸が、一気に綺麗な赤色に染まった。 少し驚いたけど、上手くいったみたいでホッとした。 隙間から二人の様子を覗いていたら、自然と頬が緩んだ。 ――――よかったね。 そう呟いて、私は病院を後にした。