またドアをちょびっとだけ開いてなかを覗くと、由紀ちゃんは隼人くんの記憶のなかに出てきた、いとこの彩夏ちゃんと話していた。 隼人くんは寝てるみたい。 糸!来い!来い! 指をちょいちょいって動かして、隼人くんと由紀ちゃんの糸を引き寄せる。 空中を行き場なく漂っていた二人のピンク色の糸は、先からほつれてぐちゃりとしてた。 ごめんね……。 心のなかで謝って、糸を両手にそっと載せる。 そして、糸に私の涙を落とした。