「誰ぇ?この子ぉ」
「……彼女」
由紀が睨み付けてくるので、何を怒ってるんだ?と原因を探す。
ああ、ずっと会えなかったから怒ってるんだよな。
弁解しようと口を開こうとすると、由紀は彩夏のことをいきなり殴ろうとして来た。
その腕を掴んで止めると、由紀は信じられないという顔で俺を見た。
そうか、彩夏とは初対面だったんだ。
「……なんで、」
「待てって!話聞けよ!」
彩夏のことも家の状態のことも全部話そうとしたら、由紀は俺の手を振り払ってギッとこっちを睨んできた。
「隼人のバカ!大っ嫌い!!」
「由紀!」
去ろうとするから咄嗟に肩を掴むと、手の甲を爪で引っ掻かれた。
痛みで手を引っ込める。
「触んないでよ!もうっ!あんたなんかとは別れる!!」


