現状は何も変わらないまま、七月が終わって八月に突入した。
由紀から何回も連絡がきていたけど、それすらも今は煩わしくて、素っ気ない言葉しか返せなかった。
由紀、怒ってるかな?
でも由紀なら許してくれるだろう、なんて甘えがあった。
それが間違いだったんだ。
八月の半ば。
彩夏と晩御飯の買い出しをして家に帰ってくると、由紀がインターホン前に立っていた。
半年ぶりに見た由紀の姿に、胸が軽くなった気がした。
会いに来てくれたのか……。
「由紀?」
少し頬を綻ばせながら声をかけると、何故か由紀は顔を強張らせた。


