その話を聞いて、俺は父さんへの怒りが抑えきれなくて、足元にあった机を思いっきり蹴り飛ばした。
彩夏は小さく悲鳴をあげて、肩を跳ねさせた。
ハッとして謝ると、彩夏は苦笑いを浮かべた。
彩夏がキッチンで晩御飯を作っている横で、母さんが三角座りをして爪を噛んでいる。
俺はそんな母さんを横目に、テレビを見る。
テレビでは、バラエティー番組が流れている。
俺の気分と相反してみんなが笑っていて、なんとなく苛ついてテレビを消した。
母さんを見ると、だいぶやつれてしまっていて、目も虚ろで光がなく、隈も酷い。
何か声をかけたかったけど、なんて言っていいのかわからなくて、ソファーから動けなかった。


