【Side/Hayato】
夏休みに突入した、二日後。
学生寮を出て、でっかい旅行鞄を肩から提げて電車に乗って、約10分。
自分の家に帰ってきた。
俺が通う学校は男子校で、全寮制だ。
でも夏休みとか冬休みとかの長期休暇の間は、前もって届けを出しておけば帰省できるんだ。
だから夏休みの一週間前に専用の紙を書いて、今日、必要なものを纏めて家に帰ってきた。
由紀とは頻繁に連絡を取り合っていたけど、親とはたまに「元気にしてる?」って母さんが電話してくるくらいだったから、
二人はどうしてんのかな、なんて考えながら、家のインターホンを鳴らした。
「はぁ~い」
すると出たのは、母さんじゃなくていとこの彩夏だった。
「あれ?お前、なんで……」
「隼人ぉ!久しぶりぃ」
扉に凭れかかりながら、にっこりと笑ってる。
それに釣られて薄く笑いながら、首を傾げる。


