恋の神様におまかせ♪




他にも言いたいことはあったけど、稲穂の顔を見てたら何を言っていいかわからなくなって。

ただ彼女の頭をそっと撫でて、晩御飯を作るために立ち上がった。










「ほら、食べろ」


テーブルに皿を置くと、稲穂は少しだけ顔をあげる。


今まで一人だったし、あんま手の込んだ料理なんて作ったことなかったから、市販のルーでカレーを作った。

カレーなら量がわからなくて作りすぎても色々アレンジできるし。


稲穂はじっとそのカレーを見つめて、動かない。


俺は稲穂の向かい側に座ってスプーンを持つ。


「見てないで食べろよ」


「………」


カレーを見ていた目が俺に向けられる。

“食べてもいいの?”とでも言いたげなその目に答えるつもりで、稲穂にスプーンを握らせる。


「あったかいうちに食べようぜ」


そう笑いかけると、稲穂は少し頬を赤らめて頷いた。