「わかった。いーよ、無理には聞かないから」


わしわし頭を雑に撫でられて、髪がぐしゃぐしゃになる。

私は乱れた髪を静かに直しながら、彼を見る。

すると彼は、綺麗な顔でにこりと微笑んだ。


「俺は水神蒼太(みかみ そうた)。よろしくな」


「……白川稲穂、です」


よろしく、ってことは、家においてくれるってことなのかな?


私はうまく笑えなくて、彼の微笑みに変な顔で返してしまった。


蒼太はそんな私に笑って、私の頬を、優しく撫でた。