「……見せて」


手を差し出されて、その手の上に、血まみれの手のひらを上に向けてのせた。

彼は包帯の結び目をハサミで切って外して、ウェットティッシュで丁寧に傷口周りを拭いてくれた。


ガーゼを当てて、テープでとめる。


「……ありがとう」


お礼を言って、手を引っ込める。

でもその手を捕まれて、きゅっと握られた。

不覚にもドキッとしてしまった。


「……なんか、複雑な理由がありそうだし、話したくないんならいいけどさ、」


そこまで言って、私の目をまっすぐ見つめる。

さっきは暗くてよく見えなかったけど……
鼻が高くて、目が切れ長の二重で、肌がつるんとしてて白いくて。

黒髪なのに地味には見えない、王子様みたいな人だ。