翌日。
私は隼人の家の前に、稲穂と並んで立っていた。
稲穂には繋がった糸を切る力があるらしく、糸を切ってしまえば関係は崩壊するそうだ。
つまり、私は隼人を、隼人は私を好きじゃなくなって、興味もなくなってしまうらしい。
少し、悲しいけど、でももう疲れたから。
もう、解放されたかったから。
この家に来るのも、今日で最後だ。
「……由紀ちゃん」
稲穂が私の肩にそっと手をのせる。
私は頷いて、インターホンを鳴らした。
《……はい》
隼人の低い声がする。
「私、由紀だけど」
そう言うと、ダダダダって地響きみたいな足音が聞こえて、扉が開いた。
「……ゆ、由紀」
隣に稲穂もいるんだけど……と思って横を向いたら、いつの間にか稲穂は居なくなっていた。
ど、どこ行った!?


