「……そっか」
話し終えると、それだけ呟いて黙ってしまった。
この前みたいに唸ったりしないで、静かに、かなり真剣に考えてくれてるみたいだった。
稲穂がまた私の後ろをみる。
すると一度口元を両手で覆って目を閉じて、小さく深呼吸をして、目を開く。
いつになく真剣な稲穂の目に、私は何も言わずに稲穂が口を開くのを待つ。
「別れたい?」
「……え?」
別れたい?
……隼人と?
「……私、は……」
震える唇で、言葉を紡ぐ。
「………私は、
――――別れたい」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…