「………」


「せっ!せせせせせ先輩!?」


カチンっと硬直した体を強く抱き締める。


……ほら、やっぱり大丈夫だ。



「……気持ち悪くない」


「え?」


「抱き締めても、気持ち悪くない」


そういうと、島崎はせっかく引っ込んだ涙をまた溢れさせて、俺の服を濡らした。


……それはちょっと気になるけど、まあ、島崎が帰ってから洗えばいいし。


今は、この余韻に浸っていたいっていう気持ちの方が強い。


手を繋いで歩くだけじゃ分からなかった、体の小ささとか、体臭とか、薄い筋肉とか。


手や肌でなぞると、彼女は少し息を荒げ始めた。